アメリカ大豆協会

ソーイ&ヘルス
ソーイ&ヘルス 2008夏号

■英国は心血管患者に対するステロール/スタノール使用を推奨しない
英国国立臨床研究所(NICE:National Institute for Clinical Excellence)は、健康増進および疾病予防・治療に関する国の指針を策定する独立機関である。最近、NICEから、「Lipid Modification - Cardiovascular Risk Assessment and the Modification of Blood Lipids for the Primary and Secondary Prevention of Cardiovascular Disease(脂質調節−心血管系リスク評価と心血管系疾患の一次及び二次予防のための血中脂質調節)」という報告書が発表されている。報告書には、CVD(心血管疾患)リスクが高い人の評価方法やコレステロール低下薬(スタチン)、減量療法、運動、心臓の健康に良い食事などの様々な予防法など、多くのセクションにより構成されている。医師がCVDリスクを伴う人々に対して生活習慣の改善や心臓の健康に良い食事を勧めることが多いにもかかわらず、CVDの一次予防においてオメガ3サプリメントや植物性ステロール、スタノールの使用をNICEが推奨しなかったことはおそらく驚くべきことであろう。植物性ステロールやスタノールを含むコレステロール低下剤によって血中コレステロールは低下するが、それらが実際に心血管疾患を予防するという証拠がまだ得られていないとNICEは考えている。現行の法律下では、疾患リスクの低減に関する健康強調表示は認められないため、これまでの表示はコレステロールの低下に関するものが通常であった。一方、現在検討されている健康強調表示に関する新たなEU規制の導入によって、特に過去に表示がなされていない場合、今後これらの表示は認められない可能性がある。
<http://www.nice.org.uk/guidance/index.jsp?action=byID&o=11982>
<http://www.efsa.europa.eu/EFSA/KeyTopics/efsa_locale-1178620753812_NutritionAndHealthClaims.htm>

■ EUのサプリメント市場をイタリアとドイツが独占
米国Supply Side East Trade ShowにおいてCapsugel社の栄養補助食品グローバル事業開発部長であるPeter Zambetti氏が示したデータによると、イタリアとドイツの二国は栄養補助食品における西ヨーロッパ最大の単一市場であり、英国とフランスがこれらに続いている。データは2006年の数値に基づいており、Euromonitor社、Datamonitor社、Mintel社、Nutrition Business Journalが発表した情報から引用している。栄養補助食品の定義として、ビタミン、サプリメント剤、薬草、強壮剤、ホメオパシー薬が挙げられた。
2006年におけるこれらの製品の世界市場は1,520億ドル以上になると報告されており、その後市場はさらに4〜6%拡大したものと推定される。アジア太平洋市場が全世界の売上高の44.2%と最も高いシェアを占めており、米国の32.2%、西ヨーロッパの14.4%がこれに続いている。イタリアは、売上高16億ドル、市場占有率23%と、西ヨーロッパ最大の市場である。ドイツは売上高15億ドル、市場占有率20%であり、英国の11億ドル、13%、フランスの8億3,700万ドル、11%がこれに続いている。ヨーロッパ市場における他の国々の内訳は以下の通りである:スカンジナビア諸国10%、スペイン、ベルギー、オランダ各4%、オーストリア、スイス、トルコ各2%、ポルトガル、アイルランド、ギリシャ各1%。

■ 機能性食品に関するMintel社の最新レポート
最近のMintel社の調査によると、10年以上にわたり食品産業において競争力の高い部門であった英国の機能性食品が困難に直面している。Mintel社は、この原因を、理解しにくい機能性成分に対して消費者が抱いていた幻想が消えたことと自然食品志向あるいは「天然」志向の増大によるものとしている。2002年の市場規模は2億2,600万ポンドで、2005年には4億9,200万ポンドと171%の拡大を示した。しかし、2006年から2007年は、5億9,600万ポンドから6億1,300万ポンドと、わずか3%の成長にとどまった。Mintel社の予測では、2007年から2012年の成長率は72%で、売上高は10億ポンドに達する見込みである。この調査はまた、機能性食品部門の販促費用の大幅な減少についても言及しており、健康志向の時流に合わせた戦略の展開が機能性食品会社の課題であるとしている。 <http://www.mintel.com/home.htm>

特許取得済みの新しい粉砕技術
“Multicracker”はバルク品を効率的に粉砕するための新製品である。製造元のPTW Technologies GmbH社は、“Multicracker”は技術革新と効率性追求の結実を謳っている。最先端の粉砕技術を使用したこの機械の用途は広く、食品や飼料産業において穀物や混合物を粉砕する、または、植物油産業において脂肪種子を粉砕/フレーク状にする場合に効率的であるとPTW社は主張している。重要な特徴は、粉砕ディスクに施された幾何学的な形状であり、これによって“Multicracker”はより少ないエネルギーで材料を粉砕できる。平均して、材料1トン当たりわずか1 kWのエネルギー消費量で済む。この機械によって、最高80%までが必要な粒度を満たす均一な粉砕物が得られる。材料の粉砕に要する時間もごく短時間で済み、加熱による栄養価の損失がなく、微生物汚染のリスクも低い。 <http://www.multicracker.com>

■ 革新的な大豆製卵代替製品、Profull?がもたらす味、食感、そして健康効果
Profull? 68141大豆粉は、タンパク質代替大豆製品市場におけるCargill社の最新製品である。この全脂大豆粉製卵代替製品は、優れた味、食感、高い栄養価を持つ。

タンパク質40%、コレステロールを含まない大豆脂質20%(乾燥状態)を含み、多価不飽和脂肪酸(リノール酸)、レシチン、ビタミンE、ステロールに富む全脂大豆粉製品であるため、Profull? 68141全脂大豆粉は、健康食品の材料にうってつけである。

脂肪結合、高い水分含有量、優れた生地特性によって、ケーキ、パンケーキ、クッキーの優れた材料となり、様々なベーカリー製品に使用できる。卵の分量の50%までをProfull? 68141全脂大豆粉で代替することで製品の保存期間を延ばすことができ、さらに重要なことには、この物価高騰の折、製造コストを低減することも可能だ。 <http://www.cargilltexturizing.com>

■ 新製品Alpro Soya Light
Alpro社は、乳製品を含まない低カロリーヨーグルト代替製品を発売した。本製品は飽和脂肪が低く、豆乳とフルーツにカルシウム、繊維、ビタミンをブレンドして作られる。Alpro Soya Lightは人工甘味料を含まず、グルコースの発酵によって得られる、天然のブドウ、メロン、西洋ナシに存在するエリトリトールを含んでいる。Alpro Soya Lightにはラズベリー&ブラックベリー、パイナップル&パッションフルーツの2種類がある。

<http://www.alprosoya.co.uk/alpro/UK_en/index.html>

■ Soya Health Foods社のSunrise Cafe Expert
Soya Health Foods社のSunrise大豆製品のラインナップに、紅茶やコーヒーの中に入れても凝固しない豆乳Sunrise Cafe Expertが新たに加わった。Cafe Expert用の大豆は、南アメリカの厳選された有機栽培生産者から仕入れている。Soya Health Foods社は、熱を加えても凝固しない豆乳の製造方法を偶然発見し、現在では同社の全製品にこの非凝固性を得るための特殊製法と工程が用いられている。この新製品は、カフェやレストランで増大する豆乳需要に応える最適な商品となるとSoya Health Foods社は考えている。本製品は1リットル8本入りケースで提供され、常温または冷蔵庫内で保存できる。

<http://www.soya-group.com/>

■ Solbar社、Vitafoodsで2つの新製品を発表
Solbar社は、Vitafoods 2008で2つの新製品を発表した。Solgen SRは、更年期症状を軽減させるための徐放性イソフラボンである。大豆イソフラボン(うち最低55%はゲニスチンまたはゲニステイン)を最低30%含むSolgen SRは、徐放効果を得るためにマイクロカプセル化されており、一時的な血中濃度の上昇を防ぎ、1日を通じて持続的な効果をもたらし、消費者コンプライアンスを満たした。製品はセルロース誘導体でコーティングされたさらさらした顆粒であり、12時間にわたり有効成分を放出する。製品は圧縮錠剤や硬カプセル剤にして使用できる。Solgen SRは臨床試験によって裏付けられており、Solbar社のSolgen大豆イソフラボンは欧州ドラッグマスターファイル(EDMF)に登録されている。

もう一つの新製品は、低ナトリウムで分離大豆タンパク含量90%のSolpro 957である。本製品を使用することにより、食品製造業者は製品中のナトリウム濃度を低減することができる。通常の分離大豆タンパク製品のナトリウム濃度はおよそ11,000〜13,000 mg/kgであるが、Solpro 957はこの濃度を3,000 mg/kgにまで低減できるとSolbar社は主張している。ナトリウムを低減できたことにより金属味がせず、低粘性であり、肉代替品など各種食品の製造に使用できる。Solpro 957は、加工肉、インスタント食品、インスタントスープ、栄養バー、シリアル、飲料市場をターゲットにしている。 <http://www.solbar.com>

■ ゲニステインへの早期曝露によって乳がんリスクが変化しうる
動物とヒトでの試験により、ゲニステインが乳がんを予防しうることを示す多くの証拠が得られているが、この効果は思春期以前に摂取した場合に限られる。トゥルク大学(フィンランド)、ロンバーディがんセンターおよびジョージタウン大学(ワシントンD.C.)の研究者らによる文献の再検討の結果も、小児期および思春期、そして動物では発情開始前での大豆食品の摂取またはゲニステインへの曝露によって後年の乳がんリスクが減少する可能性を示唆している。動物試験において、曝露を胎児期または成体期に限定した場合には、同様の予防効果は期待できない。成人期の食事摂取量を評価した場合、ヒトでの試験におけるメタ分析によって、閉経前後での軽度のリスク低減が認められる。これらの知見は、乳がんに対する感受性に及ぼす様々な食事曝露の影響を評価する際に、摂取時期が非常に重要になりうることを示す新たな証拠と一致している。研究者は、遺伝子発現に特に焦点を当て、関与しうるメカニズムを再検討しており、思春期におけるゲニステイン曝露によって引き起こされる乳腺およびシグナル伝達経路への影響が、妊娠初期のエストロゲン環境によって引き起こされる影響とよく似ているのではないかと提起している。
A Warri et al 2008, British Journal of Cancer, 98 p 1485-1493 ? advance online publication 8 April 2008 doi 10.1038/sj.bjc.6604321
<http://www.nature.com/bjc/journal/v98/n9/abs/6604321a.html>

■ 納豆抽出物の摂取が股関節骨折のリスク低下に関連
日本の研究が、特に大豆発酵食品である納豆に含まれるビタミンK2(メナキノン-7またはMK -7)の摂取と股関節骨折リスクの低下に有意な関連があるとしている。研究者は、股関節骨折の発生率と、骨の健康に良いと広く認知された4つの栄養素(カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンK)の食事摂取量との関係を調査した。西日本と東日本との間で股関節骨折率における明らかな差が認められたが、そのような差異は納豆由来のMK-7の摂取量によってしか説明がつかなかった。日本における股関節骨折の発生率に関する2002年度の全国調査および国民栄養調査のデータを使用して、股関節骨折の標準発生率が算出され、標準発生率と各栄養素の摂取量との相関関係が地域別に評価された。地域別の標準発生率と、男女両方のマグネシウム、ビタミンD、ビタミンK摂取量、そして女性のカルシウム摂取量との間に有意な相関関係が認められた。男女両方においてビタミンK摂取量に最も強い逆相関関係が認められた。カルシウム、マグネシウム、ビタミンDの摂取量について調整を行った後の地域別の標準発生率とビタミンK摂取量との偏相関が男女共に最も強かった。研究者は、股関節骨折の発生率と、ビタミンKの摂取量、また地域ごとの食習慣の差異との有意な相関関係を結論付けており、野菜および豆類の摂取量増加が股関節骨折の発生率を低下させうるとしている。また、骨粗しょう症予防の見地から、ビタミンKの食事摂取基準値の再検討を提案している。
Yumi Yaegashi et al 2008, Journal of Epidemiology 23 p219-225
<http://www.springerlink.com/content/1g23144331716857/?=c995f563eae14d27a53fe209b5870d22&pi=6>

■ ゲニステインとレスベラトロールとの併用によって抗肥満作用が増強
ゲニステインとレスベラトロールは共に脂肪細胞の形成を抑制して、がん細胞のアポトーシスを促進する。この試験では、脂肪細胞の発生および生化学モデルにヒト3T3-L1細胞を使用した。少量のゲニステインとレスベラトロールをそれぞれ単独または両方を前脂肪細胞および成熟脂肪細胞に曝露した結果、これら2つの化合物を併用した場合、ゲニステインまたはレスベラトロール単独の場合よりも脂肪細胞数がそれぞれ59%、70%減少した。両化合物によってどちらの細胞種も生存率が用量依存的に低下した。また、2つの化合物の併用によって脂肪細胞のアポトーシスが242%増加したが、いずれも単独では最高用量であってもわずか46%しか増加しなかった。脂肪蓄積量も低下した。ゲニステインとレスベラトロールの併用によって、3T3-L1脂肪細胞における脂肪生成抑制、アポトーシス誘導および脂肪分解促進作用が高められると研究者らは結論付けている。ゲニステインとレスベラトロールの併用では、単独で使用した場合よりも抗肥満作用が高くなるということである。
S Rayalam et al 2007, Journal of Nutrition 137 p2668-2673
<http://jn.nutrition.org/cgi/content/abstract/137/12/2668>

■ ビタミンK2によって前立腺がんリスクが低下しうる
欧州における発がんと栄養に関する前向き研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition: EPIC)の結果によると、ビタミンK2摂取量の増加によって前立腺がんのリスクが35%低下しうる。本研究では、ハイデルベルグ・コホートにおけるフィロキノン(ビタミンK1)およびメナキノン(ビタミンK2)の食事摂取量と全例の前立腺がんおよび進行性前立腺がんとの相関関係が評価された。研究開始時に、食物頻度アンケートによって日常的な食事からの栄養摂取量が評価された。フィロキノンとメナキノン(MK-4〜14)の食事摂取量は、過去に発表されたHPLCによる食品中含量データを利用して推定された。男性11,319人について、フィロキノンとメナキノンの摂取量に関連した全例の前立腺がんおよび進行性前立腺がんの多変量調整相対リスクが算出された。平均8.6年間の追跡期間中に、113例の進行性前立腺がんを含む268例の前立腺がんが診断された。全例の前立腺がんとメナキノン総摂取量との間に有意ではない逆相関が認められた。進行性前立腺がんにおいてはより強い相関関係が見られた。乳製品由来のメナキノンは、食肉製品由来のメナキノンよりも進行性前立腺がんとの逆相関が強かった。フィロキノン摂取量は前立腺がんの発生率と無関係であった。研究者らは、メナキノン摂取量と前立腺がんとの間に逆相関が示唆されるが、フィロキノン摂取量とは関連性がないと結論付けた。食事性ビタミンKと前立腺がんに関するより詳細な研究が求められる。
K Nimptsch et al 2008, Am J Clin Nutr 87(4) pp985-992
<http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/87/4/985?etoc>

■ 大豆イソフラボンは骨の健康と糖尿病に有益となりうる
イソフラボンアグリコンに富む大豆発酵食品の摂取により年齢47〜70歳の閉経後の女性65人の骨とグルコース代謝に影響があるかどうかが調査された。食事介入による二重盲検並行試験では、女性を無作為にグループ分けし、イソフラボンアグリコンに富む大豆スープ(イソフラボンアグリコン24 mg/日)またはプラセボスープを4週間摂取させた。摂取前後の血液と24時間尿サンプルを採取し、骨およびグルコース代謝マーカーを分析した。試験中、被験者は、食事介入開始5週間前から9週間にわたり他の大豆食品やイソフラボン・サプリメントの摂取を控えた。4週目の結果は、プラセボ群に比べ大豆摂取群において尿中総イソフラボン濃度が有意に高いことを示した。4週目に、プラセボ群においてデオキシピリジノリン(骨吸収マーカー)の尿中排泄量がベースライン値から有意に上昇していたが、大豆摂取群においては有意な変化は認められなかった。対照的に、大豆摂取群において血清オステオカルシン(骨形成マーカー)濃度がベースライン値から有意に上昇していたが、プラセボ群においては有意な変化は認められなかった。大豆摂取群ではプラセボ群に比べて血清インシュリン濃度が有意に低かったが、血中グルコース濃度は両群で同程度であった。このように、4週目では、インシュリン耐性(インシュリン耐性のホメオスタシスモデル評価)はプラセボ群に比べ大豆摂取群で有意に低かった。研究者らは、24 mgのイソフラボンアグリコンを含む発酵大豆スープを4週間摂取することによって閉経後の女性での骨およびグルコース代謝が改善されると結論付け、大豆発酵食品の継続摂取によって骨粗しょう症を予防することができ、閉経後のインシュリン耐性が改善されうるとしている。
M Mori et al 2008. Geriatrics & Gerontology International 8 (s1),
S8-S15 doi: 10.1111/j.1447-0594.2007.00399.x
<http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1447-0594.2007.00399.x>

会議のハイライト
2008年6月2日から3日にかけて、世界中から約200人の代表者がベルギーにある美しい街ゲントを訪れ、第5回大豆と健康国際会議(International Conference on Soy & Health)、第1回大豆及び戦略的マーケティングの国際シンポジウム(International Symposium on Soy & Strategic Marketing)に出席した。会場では、大豆に関連した幅広い主題のポスター抄録も展示された。科学的シンポジウムであるSoy & Health 2008におけるハイライトを以下に示す。

■ 大豆、コレステロール低下および心血管疾患
コレステロール低下における大豆タンパク質の関与に関する新たな知見がMaria Rosa Lovati博士(ミラノ大学、イタリア)によって発表された。博士の研究によると、大豆タンパク質の主なコレステロール低下作用はイソフラボンではなく生理活性ペプチドに由来しており、このことは将来、高コレステロール患者に対する治療薬や機能性食品の開発へとつながる可能性があるとしている。Gerald Rimbach博士(クリスチャン・アルブレヒト大学、ドイツ)は、イソフラボンが血管緊張に関与するタンパク質をコード化する遺伝子の発現に重大な影響を及ぼすとの証拠を提示した。ゲニステインによってもホモシステインやタンパク質プロファイルの酸化LDL誘導による変化が逆転し、アポトーシスが抑制された。また、イソフラボン分子上の重要なヒドロキシル基を覆うイソフラボンの硫酸化によって、内皮機能に及ぼす影響が低減されうる。Giovanni Mann教授(キングス・カレッジ、ロンドン)は、エストロゲン、イソフラボン、ポリフェノールによって内皮での一酸化窒素放出に関与するシグナル伝達経路が活性化される分子メカニズムに関する情報を提供した。大豆タンパク質が豊富な食事によって低血圧および抗酸化遺伝子発現が維持され、妊娠期間や成人期に大豆イソフラボンが豊富な食事をとることによって酸化ストレスを減少させ、内皮機能を改善させ、血圧を低下させる。骨粗しょう症の閉経後女性における大規模研究では、Francesco Squadrito教授(メッシーナ大学、イタリア)は、ゲニステイン54 mgとカルシウム、ビタミンD3、そして健康的な食事によって、骨粗しょう症の閉経後女性における血糖コントロールと一部の心血管疾患リスクマーカーの両方に好ましい影響を及ぼしたことを示した。

■ イソフラボンおよび他の大豆成分
Elvira de Mejia博士(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、米国)は、大豆タンパク加水分解物が白血病細胞の生存に関与する酵素を抑制することにより抗がん作用を有する可能性を示唆した。Guy Haegeman博士(ゲント大学、ベルギー)の研究では、慢性炎症性疾患、加齢に伴う疾患や腫瘍形成に関与するインターロイキン-6などの特定の標的遺伝子の活性化を大豆イソフラボンによって選択的に阻害できることが示されている。Kenneth Setchell教授(シンシナティ大学、米国)は、糖尿病性胃不全麻痺に関連する症状の軽減または緩和の手段として、イソフラボン33 mgを含む大豆イソフラボン強化パスタの潜在的有効性に関するデータを提供した。胃内容排出の遅延が記録された2型糖尿病患者において、食事にイソフラボン強化パスタを含めることで、胃内容排出速度が著しく増加し、胃内容排出が正常化した。重要なことは、摂食後の血中グルコースとインシュリン濃度に悪影響を及ぼすことがなかったことである。これに関連するメカニズムを検証した別の研究では、パスタに含まれるイソフラボンによって58種類の遺伝子の発現に顕著な影響が認められ、これらの遺伝子には胃機能や酸化ストレスに関与する遺伝子クラスが含まれた。Willy Verstraete教授(ゲント大学、ベルギー)は、健康な閉経後女性におけるエクオール産生の表現型に関連する微生物因子および食事性因子に焦点を当てている。5日間の実験期間中、1食当たりそれぞれ28.5 mg、38 mgのイソフラボンアグリコン同等物を含む豆乳あるいは大豆胚芽を1日3食、毎日摂取させた。尿サンプルの分析によって、豆乳中のゲニステインおよびダイゼインの生物学的利用能が大豆胚芽錠剤中のそれよりも有意に高いことが示された。エクオール産生の強い表現型は、Clostridium coccoides - Eubacterium rectaleの菌数との逆相関が認められ、硫酸塩還元菌とは正の相関が認められた。PUFA(多価不飽和脂肪酸)が多くおよびアルコール摂取量の多い人は、エクオール産生量も多い傾向があった。

■ メタボリック症候群、肥満および糖尿病
Leila Azadbakht博士(Isfahan University of Medical Studies:イスファハン医科大学、イラン)は、炒り大豆と大豆タンパク質の摂取がメタボリック症候群の閉経後女性のインシュリン耐性および心血管疾患リスクマーカーに及ぼす治療効果に関するデータを示した。脂質プロファイル、炎症インデックス、酸化ストレスマーカーの改善は、炒り大豆の摂取によって心血管疾患が軽減されうることを示唆している。インシュリン耐性の低下は、大豆摂取が糖尿病予防に役立つことも示している。炒り大豆の摂取は、大豆タンパク質よりも効果的である。これは、炒り大豆に含まれる脂肪と繊維によるものと考えられる。

Stephen Atkin教授(ハル大学、英国)は、2型糖尿病および無症候性甲状腺機能低下症におけるインシュリン耐性および心血管疾患リスク因子に及ぼす食事性イソフラボンの効果に関する新データを提供した。この研究では、2型糖尿病を患う閉経後女性において、12週間の大豆タンパク質の摂取(30 g/日、132 mg/日のイソフラボンを含む)によって、空腹時インシュリン、インシュリン耐性、糖化ヘモグロビン、総コレステロール、LDLコレステロール、総コレステロール/HDLコレステロール比の平均値が有意に低下した。イソフラボン132 mgのみで再試験を行った結果、有意な変化は生じなかった。無症候性甲状腺機能低下症の患者で行った別の試験では、大豆タンパク質調製品30 g中のイソフラボン16 mgを摂取することでインシュリン耐性および最高・最低血圧が有意に低下した。調製品2 mgでは、最高血圧のみが低下した。甲状腺機能に変化は認められなかった。Janice Harland博士(ハーランドホール、英国)は、肥満および糖尿病の被験者において実施された試験のメタ分析の結果を発表し、食事に大豆タンパク質18〜43 gが含まれる場合にコレステロール、特にLDLコレステロールが有意に低下することを示した。このことから、減量計画において大豆タンパク質が動物性タンパク質と少なくとも同等であるが、心血管疾患マーカーの1つを低下させることで、肥満に関連する主な合併症の1つのリスクを低下させることになる。

■ 最新の話題
Mark Messina博士(ロマリンダ大学、米国)は、男性の総テストステロンおよび遊離テストステロン濃度に及ぼす大豆タンパク質およびイソフラボン摂取の効果を検証した試験のメタ分析のデータを発表した。大豆食品、分離大豆タンパク、イソフラボン抽出物(大豆およびムラサキツメクサ由来)を摂取した成人男性を対象とした、ピアレビュー済みの英語文献の試験が選ばれた。全ての試験には、循環テストステロン、遊離テストステロン、性ホルモン結合グロブリン、算出された遊離アンドロゲン指数の評価が含まれた。結果から、統計モデルに関係なく、大豆タンパク質またはイソフラボン摂取はこれらの測定値に有意な影響を及ぼさないことが示された。Francesco Squadrito教授(メッシーナ大学、イタリア)は閉経後女性における長期試験を行っており、骨の健康に及ぼすゲニステインの効果について調査している。過去の知見では、54 mg/日のゲニステインアグリコンが女性の骨代謝に好ましい効果を及ぼすことが示されており、試験36カ月においても、プラセボと比較して大腿骨頸および腰椎部での骨ミネラル濃度の有意な増加が示され、ゲニステインが骨粗しょう症の閉経後女性コホートにおける骨形成に与える好ましい効果は続いている。Peter Celec博士(コメニウス大学、スロバキア共和国)による研究は、認知および精神衛生という複雑な分野に関するさらなる洞察を提供した。大豆イソフラボンの果たす役割に関する研究はごくわずかで、今までに発表された研究結果には矛盾がある。彼自身の研究では、男女の違いとテストステロンの作用に注目し、女性特有の内分泌系の変化によって影響される空間認識能力が大豆摂取によって改善されうることを示唆している。Jean Dayde教授(ツールーズ工科大学−Ecole d’Ingenieurs de Purpan、フランス)は大豆サポニンとその生物学的利用能および健康に良い微量栄養素としての役割に関する情報を提供した。大豆サポニンの効果としては、抗発がん作用の他、コレステロール低下作用、抗酸化活性、肝臓保護作用、抗ウイルス特性が挙げられる。しかし、大豆サポニンの生物学的効果に関してはより多くの研究が必要とされ、イソフラボンとの相加、相乗、および拮抗作用を明らかにする必要がある。

■ 大豆の実用
Jean-Michel Lecerf博士(パスツール研究所、フランス)は、患者や医師に提供すべき大豆食品に関する実用的な情報をまとめた。これらの情報には大豆食品の組成や機能に関するものが含まれ、医師は、特定の疾患や病状(例、心臓病、糖尿病、乳糖不耐症)のある患者に対してどの食品が有用であるかを知ることができた。食事に関するアドバイス、レシピのアイデア、入手可能な大豆食品の種類に関する情報も、患者に実用的なアドバイスを与える栄養士にとっては非常に貴重なものであった。Lynne Garton(Alimenta社、ロンドン)は、大豆食品の見分け方、大豆食品を食べやすくするためのコツなど、大豆を推奨し、患者が大豆を食生活に取り入れるように実用的なアドバイスを行う立場にある医療従事者および保健専門家の役割に焦点を当てた。

■■■ 大豆関連イベントのお知らせ■■■

7月8−9日
FIE主催2008年機能性食品シンポジウム(Functional Foods Symposium 2008)
オランダ、アムステルダムにて
参加申し込み・詳細: <http://www.functional-foods.biz/cmpic/ffs/>
e-mail: conferences@cmpinformation.com.

7月20日―22日
第18階植物性脂質国際会議 (18th International Conference on Plant Lipids)
フランス、ボルドーにて
参加申し込み・詳細: <http://www.ispl2006.msu.edu/ISPLBordeaux2008.pdf>

8月6−8日
食品エキスポ(All About Food Expo)、インド、ニューデリーにて
参加申し込み・詳細:<http://www.allaboutfoodexpo.com>

8月24−29日
第10回繊維状植物タンパク及び大豆製品に関する短期実践コース
(Annual Practical Short Course on Texturized Vegetable Protein and Other Soy Products)
米国テキサス州テキサス A&M大学にて
参加申し込み・詳細: mnriaz@tamu.edu 、 <http://www.tamu.edu/extrusion>

9月7−10日
第6回ユーロ脂質会議:3000年の油脂、脂質
(6th Euro Fed Lipid Congress: Oils, Fats & Lipids in the 3rd Millenium)、ギリシャ、アテネにて
参加申し込み・詳細: <http://www.eurofedlipid.org/meetings/athens/index.htm>

9月8―11日
脳脂質会議(The Brain Lipids Conference)ノルウェイ、オスロにて
参加申し込み・詳細: mail@bl2008.org or visit 、 <http://www.bl2008.org/>

9月17日
考えずに食べる消費者―栄養のマーケティングに関するレッスン
(Mindless Eating and Consumer “Buyology” - Lessons for Marketing Nutrition)
ベルギー、ブラッセルにて。
コーネル大学食品及びブランド研究所のトレーニング、参加申し込み・詳細: http://www.marketingnutrition.eu

9月17−19日
大豆及び油糧種子サミット(Soya & Oilseed Summit 2008)、米国ミズーリ州セントルイス市にて
参加申し込み・詳細: customerservice@soyatech.com、<http://www.soyasummit.com>

9月23−24日
大豆飲料に関する刷新的アジア会議(Soy Beverage Innovations Asia Conference)、タイ、バンコックにて
参加申し込み・詳細: <http://www.prosoy.biz>

10月2日
栄養及び健康効能に関するヨーロッパ・インテラクティブ・ワークショップ
(3rd Interactive Workshop: Nutrition & Health Claims Europe)、ベルギー、ブラッセルにて
参加申し込み・詳細: <http://healthclaims.eu>

10月9−10日
第3回特殊機能性油、マーケットトレンド、栄養と健康、食品における利用に関する実践短期コース
(3rd Practical Short Course: Specialty and Functional Oils, Market Trends, Nutrition & Health, Utilization in Food Systems)、ベルギー、ゲントにて
参加申し込み・詳細: <http://www.smartshortcourses.com> or http://www.membraneworld.com

10月13−14日
第3回スナックフーズ加工およびフォーミュラ
(3rd Practical Short Course: Snack Food Processing and Product Formulation) 、ベルギー、ゲントにて
参加申し込み・詳細: <http://www.smartshortcourses.com> or http://www.membraneworld.com

10月10−23日
SIAL 2008, フランス、パリにて
参加申し込み・詳細: <http://www.sial.fr/ExposiumCms/do/admin/visu?reqCode=accueil>

10月21−22日
第8回油脂産業国際会議(8th International Conference: Oils & Fats Industry 2008)
ロシア、セントピータースバーグにて
参加申し込み・詳細: <http://www.vniifats.ru/eng/conf2008.htm>

10月23−24日
2008年健康食品ヨーロッパサミット(2008 Healthy Foods European Summit)、英国、ロンドンにて
参加申し込み・詳細: jpedersen@newhope-eu.com <http://www.healthfoodssummit.com/>

11月4−6日
2008年自然原材料及び2008年健康原材料
(Natural Ingredients Europe 2008 and Health Ingredients Europe 2008)、フランス、パリにて
参加申し込み・詳細:<http://www.ni-events.com/content/default.aspx>
<http://www.hi-events.com/content/default.aspx>

11月9−12日
第8回健康促進及び病気予防・治療における大豆の役割に関する国際会議
(8th International Symposium on the Role of Soy in Health Promotion and Chronic Disease Prevention and Treatment)東京にて。
参加申し込み・詳細:general@aocs.org or visit: <http://www.aocs.org/meetings/8thsoy/>

12月2日
ヨーロッパにおける栄養剤及びフードサプリメントに関する規制問題(Nutrients & Food Supplements in Europe Regulatory Issues)、ベルギー、ブラッセルにて。
参加申し込み・詳細:<http://www.supplementclaims.eu>

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